実例に見る商標のリスク

北海道の西興部(にしおこっぺ)村の酒店で構成される西興部酒店会が販売していた、地元産マツタケを使った焼酎が、その名称を変更して、再発売されたことが報道されています。

事件の概要

西興部村の特産品であるマツタケを原料とする焼酎を、西興部村と酒店会で共同開発し、1988年に「樹の宝」として発売、その後、2006年に名称を「夢」に変更した。

2006年の名称変更の際、「夢」は「一般的な名称のため商標登録はできない」と判断した。

西興部村のこのマツタケ焼酎は、村の土産品として人気や知名度が高まりつつあった。

そんな折、今年2015年の2月に、岐阜県の会社から、西興部村側の「夢」の使用が、同社の商標権を侵害しているとの通知が西興部村役場にあった。

これを受け、西興部村のマツタケ焼酎は販売を中止、さらに、これまでの売上の3%を岐阜の会社に支払うことで和解が成立。

教訓1 素人判断は危険

「夢」は「一般的な名称のため商標登録できない」との判断から、西興部村では「夢」の登録商標の確認をせずに、他者の商標権を侵害する事態が発生してしまいました。

これは、商標に関して素人の方によくある誤解です。弁理士等の専門家に相談すれば、簡単に解決できる事柄です。

教訓2 商標権侵害は見つかってしまう

この事件は、岐阜県の会社が北海道の村に商標権侵害の警告をしました。
岐阜県と北海道です。地理的には随分と離れていますが、昨今のネット社会では、商標権侵害は簡単に見つかってしまいます。

教訓3 商標権侵害をしてしまうと その1

西興部村のマツタケ商標「夢」は、人気・知名度が上昇してきたところで、発売停止、名称変更を余儀なくされています。

これは、それまでの長年の努力によって向上させてきたブランド力を一瞬で失うことに他なりません。

教訓4 商標権侵害をしてしまうと その2

詳しい和解条件は定かではありませんが「これまでの売上の3%」を損害賠償として岐阜の会社に支払うようですので、経済的なリスクも大きいです。

教訓5 食品関係は要注意

北海道経済産業局知財総合支援窓口によると、「食品関係で商標権侵害の警告を受けるケースが全国的に増えている」そうです。

商標は、どのような商品・サービスの分野においても無視できない制度ですが、特に食品関係は注意が必要です。

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