フルーツのブランドの商標登録

スーパーなどの食品売り場の野菜・果物コーナーに行くと、様々な野菜や果物が並んでいます。
それらの値札を見ると、大抵は、「大根 ¥150」、「みかん ¥200」といった表示がなされています。
このように、野菜や果実の値札には、「大根」、「みかん」といった商品の普通名称が用いられることが多いですが、これでは中々商品の差別化ができません。
そこで、一部の野菜・果実では、”ブランド化”され、例えば、トマトの「アメーラ」やいちごの「あまおう」等のブランド野菜・ブランド果実も少しずつ目にするようになってきました。
野菜でもほぼ同様の注意点があるのですが、特にフルーツのブランドの商標登録をする際に注意すべき点をお知らせ致します。

品種登録と商標登録の関係

フルーツのブランド化を図るためには商標登録が欠かせません。
品質に優位性のあるブランド果実を商標登録せずにいると、他者に粗悪、或いは普通の品質の果実に同様のブランド名称を使用されてしまいます。そうなると、本家のブランド果実の評判も落ちてしまい、ブランド化はできません。

そこで、フルーツのブランドを商標登録をする際の1つ目の注意点は、種苗法に基づく品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似のブランド名称にはしないという点です。

商標法の第4条第1項には、商標登録を受けることがきない商標が記載されています。
その中に、「種苗法 (平成十年法律第八十三号)第十八条第一項 の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの 」という規定があります。
つまり、品種登録を受けた品種名称は、商標登録できません(商品・サービスが異なれば商標登録できる可能性はありますが、ここでは「果実」を指定商品とすることを前提にしています。)。
品種登録を受けた品種名称は、その果実の一般的な名称と考えられるためです。
そのため、フルーツのブランドを商標登録する場合は、品種登録を受けた品種名称とは異なる商標とする必要があります。

指定商品は「果実」だけでよいか?

商標登録をする場合、その商標をどのような商品・サービスに使用するのかを決め、その商品・サービスは「指定商品・指定役務」と呼びます。
フルーツの商標ですので、まず基本は、第31類の「果実」という商品を指定します。

フルーツのブランドなので第31類の「果実」は外せません。
しかし、指定商品は、「果実」だけでよいのか、よく検討する必要があります。

何を申し上げたいかと言いますと、そのブランド果実を原材料とする加工食品をどうするか、ということです。

フルーツなので、ジャム、ジュース、菓子、パン、お酒などの加工食品に原材料として、使用されることが考えられますが、その際、ブランドをこれらの食品の分野で商標登録をしておかないと、これらの加工食品の商品名の一部に、フルーツのブランドを使用することができなくなることもあり得ます。これらの加工食品の分野で同じようなブランド名称を他者に商標登録されてしまうこと、このような事態になってしまいます。実際に、一部のブランド苺では、こうした事態が発生しています。

フルーツ生産者側からすると、加工食品の分野での商標登録は、加工食品事業者に任せておけば、という考えもあるかもしれません。
しかし、加工食品事業者からすると、(一般的には)高価なブランド果実を原材料として使用しているならば、そのブランドを加工食品の名称にも使いたいと考えるでしょう。しかし、それができないとなると、原材料にブランド果実を使用することの魅力が半減してしまいます。

ちなみに、上で例示した加工食品ですが、以下の商品区分に分類されています。

ジャムは第29類、菓子とパンは第30類、ジュースとビールは第32類、ビール以外の酒が第33類です。

以上、果物のブランドの商標登録をする際には、特有の注意すべき点があります。
果物のブランドの商標登録をご検討されるときのご参考にして頂ければありがたいです。

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