セミナー講師の商標登録はここにご注意を!

最近では、セミナー講師をされる方が非常に多くなっていると思います。
無料で使えるSNSやセミナー等の告知サイトもありますし、安価な貸会議室もたくさんありますので、比較的に気軽にセミナーを開催したり、その告知をしたりすつことができます。
また、経営コンサルタントの方もご自身がセミナー講師を務めるのはもちろん、セミナーを利用して営業することを指南されている方もいらっしゃいます。

このように、セミナー講師をされている方は、年々増加してきていると思われますが、こうしたセミナー講師と商標登録は、実は無縁ではありません。
弊所のクライアント様でも、セミナー講師をされている、コンサルタント、カウンセラー等の方が結構いらっしゃいます。

セミナー講師の商標登録の2つのポイント

では、セミナー講師の方の何を商標登録するのか?ということですが、主なものは以下の2つです。

・セミナー講師の方の肩書
・セミナーの名称

セミナー講師の肩書

経営コンサルをされている方が「経営コンサルタント」、心理カウンセルをされる方が「心理カウンセラー」とストレートな肩書を名乗るでしょうか?
中には、そのような方もいらっしゃると思いますし、そのような肩書の名称であれば、その肩書の商標登録は不要、というよりも商標登録できない可能性が高いです。一般的な名称と考えられるからです。
しかし、「経営コンサルタント」や「心理カウンセラー」等では、具体的に、どのようなサービスを提供していて、そのサービスを受けるとどのような効果を得られるのか、わかりにくいと考えられます。また、一般的な名称のため、個性もなく差別化しにくいという点も挙げられます。

そこで、具体的なサービスを示唆させつつ、オリジナルなネーミングの肩書を名乗っている方が非常に多くなってきているという印象があります。
例えば、「〇〇ソムリエ」、「△△コンシェルジュ」、「□□エキスパート」といった具合に。(「〇〇、「△△」、「□□」の中には、「経費削減」、「労務問題」等、その方が解決できる課題などの言葉が入ります。)

こうしたオリジナルの肩書は、国家資格者である行政書士や社会保険労務士等も利用されているケースが見受けられます。

オリジナルの肩書は、一般的に使用されているとも限りませんので、商標登録の対象になり得ます。

セミナーの名称

セミナーの名称は、セミナーの内容を説明するものである場合が多く、商標登録の対象にならないケースも考えられます。
商標は、自己の商品・サービスと、他者の商品・サービスとを区別するための標識ですので、セミナーの内容を表しているだけのセミナーの名称は商標ではないと考えられるためです。
しかし、シリーズ物のセミナーであったり、繰り返し使用するセミナーの名称等の場合は、商標として評価され、商標登録の対象となることがあり得ます。

セミナー講師の商標登録の注意点

商標登録をする場合には、その商標をどのような商品・サービスに使用するのかを決める必要があります。
これを指定商品・指定役務と呼びます。

上述したような、セミナー講師のオリジナルの肩書やセミナーの名称をセミナー講師の方が商標登録をする場合に、指定商品・指定役務の指定の仕方で注意すべき点があります。

指定商品・指定役務を指定する際に参考になるのが、特許庁の「類似商品・役務審査基準」です。
これには、指定商品・指定役務として記載すべき商品・サービスの名称が掲載されています(類似商品・役務審査基準に掲載されていない名称の商品・サービスを指定することも可能です。)。

商品・サービスは、45通りの「区分」というくくりで分類されています。
セミナー講師が主に関係するのは、「第41類」という区分です。
類似商品・役務審査基準で第41類を見てみると、「セミナーの企画・運営又は開催」というサービスが掲載されています。
ここが非常に間違いやすい点ですが、商標におけるサービスは、”他人のためにするサービス”です。
ですので、この第41類の「セミナーの企画・運営又は開催」は、”他人がセミナーで講師を務めるにあたり、そのセミナーの企画・運営・開催をしてあげるサービス”という意味になります。
つまり、セミナー講師ご自身がセミナーを企画し、運営し及び開催する場合は、「セミナーの企画・運営又は開催」に該当しません。
セミナー講師が商標登録すべきサービスは、同じく第41類に含まれる「技芸・スポーツ又は知識の教授」になります。
「技芸」とか「教授」とか親しみにくい言葉が含まれているためわかりにくいのですが、平たく言えば、”他人に何かものを教えるサービス”です。
セミナー講師は、セミナーで他人に何かしらの知識を教えますので、こちらがセミナー講師の商標登録に必要なサービスとなります。
ちなみに、「技芸・スポーツ又は知識の教授」も「セミナーの企画・運営又は開催」も同じ第41類に含まれていますので、商標登録の費用は変わらないことから、実務的には、両方のサービスを指定して商標登録をすることが多いです。

もう1つ忘れてはならないことがあります。

セミナー講師の多くは、セミナーを「フロントエンド商品」としていて、本業である「バックエンド商品」を用意している場合があるかと思われます。
この場合は、本業のサービスの分野での商標登録もしておくべきです。

無料相談はこちら。

トップページ