パッケージデザインを商標登録で保護する意味

商標は、商品・サービスの出所識別標識と言われております。
A社の商品・サービスと、B社の商品・サービスとを区別するための印しです。
そのため、商品の商標というと、その会社のロゴや商品名が典型的です。
本稿では、商品のパッケージデザインを商標登録する意味について考えてみたいと思います。

先日(2017年5月1日)、花王株式会社が大王製紙株式会社の商品パッケージデザインが、自社の商品パッケージデザインと紛らわしいとして、東京地裁に当該商品の販売差止等を求める仮処分を申し立てたとの報道がありました。
また、古くは、ハウス食品株式会社が、エスビー食品株式会社のカレールーの商品パッケージデザインが自社のカレールーの商品パッケージデザインと類似するとして法的に争われたこともあります。

こうしたパッケージデザインに関する紛争は、不正競争防止法を根拠として争われることが多いです。

典型的な例に従って、商品名の商標登録しかしていない場合、パッケージデザインは似ているけれども、商品名が非類似のケースでは、商標権に基づいて類似のパッケージデザインを排除することはできません。
そのため、商品名自体は似ていないが、パッケージデザイン全体としては似ているような場合、パッケージデザインを商標登録しておくことが有効といえます。
(そもそもパッケージデザインを商標登録することができるのか疑問がある方もいらっしゃるかもしれませんが、特に問題なくパッケージデザインも商標登録をすることができます。)

パッケージデザインを商標登録することのメリットは、もう1つ考えられます。
特に、中小企業・個人事業主の方に有効です。

上述の通り、パッケージデザインに関する争いは、不正競争防止法を根拠とされることが多いです。
具体的に申しますと、不正競争防止法第2条第1項第1号か同第2号を根拠としています。
これら2つの不正競争防止法の規定は、それぞれ各種の要件に当てはまる行為を「不正競争」と定めて規制しています。
これら2つの規定には、幾つかの要件が定められていますが、ここで特に注目したいのが、第1号は”周知性”、第2号は”著名性”の要件です。
第1号の周知性は、つまり、自分の商品パッケージデザインがある程度有名になっている必要があるということです。
第2号の著名性は、さらにハードルが高く、自分の商品パッケージデザインが全国的に有名でなければなりません。
つまり、パッケージデザインの紛争で不正競争防止法を根拠とするのであれば、自分の商品パッケージデザインが少なくとも一定程度有名であることが要件となります。
周知性・著名性の立証は、どれ位そのパッケージデザインで広告宣伝を行ったのか、マスコミに取り上げられたのか等の証拠やアンケート調査の結果等を提出することにより行うのが一般的です。
広告宣伝費にそれ程コストをかけられない、マスコミに取り上げられにくい中小企業経営者・個人事業主の場合、周知性・著名性の要件をクリアするのは難しいケースも多いと考えられます。
そこで、有効な手段は、繰り返しになりますが、商品パッケージデザインの商標登録です。
商標登録をしておけば、周知性・著名性といった要件は不要で、類似のパッケージデザインを排除することが可能です。

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