「PPAP」等の無関係人による商標出願騒動...自分が被害にあったら?

ピコ太郎氏の「PPAP」や「ペンパイナッポーアッポーペン」等が、ピコ太郎氏とは無関係の個人(U氏)やその個人の関連会社(B社)によって、商標登録出願をされてしまっていたことが判明し、話題となっています。
この個人と会社は、過去にも「STAP細胞はあります」やら「倍返し」等といった商標も出願をしていて話題となったことが度々あります。もちろん、我々のような商標に関わる人間にとっては有名なこととなっています。
この個人・会社は、年間1万件以上もの商標登録出願をしていると言われています。日本では、ここのところ全体で年間13~14万件程度商標登録出願がありますので、そのうちの1割近くがこの個人・会社によるものとなります。
特許庁では、こうした商標登録出願、商標登録(その他特許、実用新案、意匠も)等の統計データをとって公表していますが、特定の者がこのように大量に商標登録出願をしていたのでは、当該統計データに与える影響も大きいので、このような側面からも迷惑なものです。
自分が使用している商標がこのような者に商標登録出願されてしまっては、迷惑極まりないので、昨年特許庁は、このような特定の個人・会社が膨大な量の商標登録出願を行っていることについて、商標登録出願されてしまっても冷静に対応するよう異例の声明を発表したという経緯もあります。
商標登録出願を行うためには、コストがかかりますので、それを年間1万件以上もするとなると、コスト的に可能なのかという疑問も生じます。

大量の商標出願の問題点はここにあります。
商標登録出願の手続を弁理士を使わずに自分で行えば弁理士報酬は発生しません。
あとは特許庁に納付する印紙代です。商標の出願時に発生する印紙代は、¥3,400+¥8,600×区分の数です。なので、少なくも1件の商標登録出願にあたり¥12,000かかります。年間1万件以上の商標を出願すると1億円を超える印紙代がかかります。お金持ちの方なら払えるのでしょうが...
実は、この商標出願時の印紙代、本来であれば商標出願と同時に納付するべきなのですが、納付しなくても特許庁は直ちに商標出願を却下したり、或いは受理しないという厳しい対応はしておらず、しばらく(数か月)印紙代の納付を待ってくれます。これは、このような大量出願を念頭に置いておらず、純粋に印紙代の納付を忘れた等の場合にいきなり厳しい対応をしたのでは酷過ぎるということで、このような寛容な姿勢を特許庁はとっているのです。
ただし、特許庁もいつまでも印紙代の納付を待ってくれる訳ではないので、一定の期間が経過しても印紙代が払われなければ商標出願は却下されます。

上述した大量商標出願を行っている特定の個人・会社は、このような特許庁の寛容な姿勢をついているのです。
しばらくの間、コストをかけることなく「商標登録出願中」の状態を作れるので、その間に誰か(実際に出願されてしまった商標を使っている会社等)から商標のライセンス(使用許諾)や譲渡の申し出があれが印紙代を払って商標登録をするのでしょう。

この問題の個人・会社は、今回の騒動のように流行語等を狙って商標登録出願してきていますが、何せ年間1万件以上なので、流行語に限らず、商標やビジネスで使用されがちな商標も大量に出願しています。
流行語であれば、芸能人等の有名人でなければ対岸の火事とも考えられるのですが、ビジネスでよく使われそうな商標となると、そうも考えていられません。
もし、今回問題となっているような個人・会社にアナタの商標が出願されてしまったら?
上述しましたように、商標登録出願時に納付すべき印紙代を納付していない出願と考えられますし、仮に印紙代を払っても特許庁にて審査を行いますので、商標登録される可能性は低いと考えられます。ですので、慌てずに慎重に対応すれば事なきを得ることができると考えられます。
もっとも、逆に言えば、年間12~13万件の商標登録出願は”まっとう”なものと考えられます。この膨大の数の商標登録出願の中にはアナタの使っている商標が含まれてしまうかもしれません。この場合は、アナタはその商標の使用を中止したり損害賠償をしなければならないかもしれません。
このように考えると、いずれにしても早めに商標登録を済ませておくことがビジネスを行う上で重要といえます。

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