商標法第六十八条の二

商標法第六十八条の二以下の条文は、しばらく「マドリッド協定議定書」、所謂「マドプロ」(マドリッド・プロトコル)に関する規定です。
マドプロは、簡単に言ってしまうと、1つの手続で複数国に商標登録を求める手続と言えます。
本条から第六十八条の八までは、基本的には、我が国から外国にマドプロを利用して商標の出願等をする場合に関連する規定となっております。
ちなみに、第六十八条の九以降は、外国からマドプロを利用して日本に出願された場合に関連する規定となっています。

第一項

第一項は、マドプロを利用して日本から外国に出願をすることができる主体と、当該出願には日本における商標登録出願(又は防護標章登録出願)又は商標登録(又は防護標章登録)を基礎としなければならないことを定めています。
ちなみに、条文上、「国際登録出願」という用語は、マドプロを利用して日本から外国に向けての出願を意味しています。
そして、前述した第六十八条の九以降の外国からマドプロを利用して日本に出願されたものは「国際商標登録出願」と呼んでいます。
具体的な条文は以下の通りです。

「日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人であつて標章の国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書(以下「議定書」という。)第二条(1)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)を受けようとする者は、特許庁長官に次の各号のいずれかを基礎とした議定書第二条(2)に規定する出願(以下「国際登録出願」という。)をしなければならない。この場合において、経済産業省令で定める要件に該当するときには、二人以上が共同して国際登録出願をすることができる。
一  特許庁に係属している自己の商標登録出願又は防護標章登録出願(以下「商標登録出願等」という。)
二  自己の商標登録又は防護標章登録(以下「商標登録等」という。) 」

第二項

第二項は、国際登録出願をする場合には、外国語せ作成した願書及び必要な書面が必要であることを規定しています。
具体的な条文は以下の通りです。

「国際登録出願をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより外国語で作成した願書及び必要な書面を提出しなければならない。 」

第三項

第三項は、国際登録出願の願書の記載事項を規定しています。
具体的な条文は以下の通りです。

「願書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  国際登録出願に係る商標の保護を求める議定書の締約国の国名
二  国際登録出願に係る商標の保護を求める商品又は役務並びに第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分 」

第四項

第四項は、国際登録出願において、商標の特徴として色彩を主張する場合の手続を定めています。
具体的な条文は以下の通りです。

「国際登録出願に係る商標又は標章について議定書第三条(3)の規定の適用を受けようとする者は、その旨及び付した色彩又はその組合せを願書に記載し、かつ、その色彩を付した商標登録出願等に係る商標若しくは標章又は登録商標若しくは登録防護標章の写しを願書に添付しなければならない。 」